キミの温度
とん、と彼の青い背中が、私の肩に触れる。
「…何だね」
しかし、彼は応えず、ふっ…と息をつく。
引きずられるように、私の口からも、息がもれる。
深く…深く。
背中越しのぬくもりに…包まれるように。
彼の呼吸に…この身を重ねるように。
やがて、ドアが開かれ、法廷事務官が私を呼ぶ。
「御剣検事、お時間です。…こちらへどうぞ」
私は頷き、そのぬくもりを背に法廷への扉をくぐる。
法曹界を去った一人の弁護士。
(馬鹿馬鹿しい…)
わたしは
だが、、確かに…いつも…どんな時も。
あの背は、守るように
この後ろにあるのだ。