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成「御剣。駅ならこっちの方が近道だよ」
御「すまないな、成歩堂」
成「いいよ、僕も事務所を出るとこだったし。
雨、急に降ってきたもんなあ。
…まあ、男同士の相合い傘なんて、絵にならないけどね」
御「フッ。まったくだ。
…成歩堂、傘を貸したまえ。私が持とう」
成「え? イヤイヤ。気にするなよ」
御「しかし、キミは私より背が低いだろう。
背の高いほうが傘を持つ…理に適っていると思うのだが」
成「(イラナイとこ、ついてくるな。コイツ…)
僕の傘だから、僕が持つ。
これも理に適ってると思うけど?」
御「キミは私より『2センチ』も背が低い。
雨に濡れる範囲を考えれば、私が持つ方が、賢いのだよ。
…なんだね、その恨めしい目は」
成「御剣がもっと僕にひっつけばいいんだよ。
大体、なんだよ、その『2センチ』って? いつ測ったのさ?
そんなちっちゃいことで、僕が傘をさすチャンスを手放すと思うなよ」
御「話のわからん男だな、キミは…!」
成「どっちが!」
御「見たまえ、キミの頭を」
成「頭?」
御「髪が濡れてヘタレたカイワレ大根のようではないか」
成「か、カイワレ大根?」
御「どこのハウス栽培だ。見るに堪えん」
成「そ、それはお前が濡れないようにって、そっちに傘をずらしてるからだろ。
カイワレ大根って。
そんな胸をえぐる言葉、空気が読めない真宵ちゃんだって言わないぞ!」
御「いいから、私に傘を譲りたまえ」
成「イヤだよ。僕がさす。弁護士バッジを捨てても、この傘は手放さないぞ」
御「傘にバッジをかけるな、こどもか! いいか、成歩堂。
“ 私なら、キミを雨に濡れさせたりしない”
そう、言っているのだ」
成「…………」
御「………………なんだ。顔が赤いぞ」
成「イヤイヤイヤ。
ごめん。その…まあ。
君が持ちたかったら持ってもいいけどさ」
御「なんだ。私の目を見てはっきり言いたまえ」
成「………ちょっと、抱きしめていい?」
御「公道で何を口走っているのだ、キサマは!」
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